時間と物質で衝撃的な話
 私が顧問をしている中小企業の社員研修会で、ある社員が行った発表が、昨年のノーベル物理学賞受賞の3人の日本人(南部さんはアメリカ国籍だが)の話でした。6っつのクウォークの発見など…。
 それを聞きながら私は、30年前の学生時代にタイムスリップしました。
母校早大でのある哲学の勉強会。講師は若かりし日の志位和夫氏でした。当時彼は20代前半、党都委員会の専従活動家でした。
 地球の誕生の話になり、現在認識されている物質の最小単位はクウォークである。さらに小さな物質に将来進むだろう。それは果てしない最小単位への接近であると同時に、宇宙の歴史と誕生、さらにその前へと遡って認識する時間認識過程と並行して進むのだ……。
 私はいまでも、あの時の志位氏の話の衝撃を忘れることができません。
物質の最小単位を追求することと、宇宙の歴史を遡ることは、同じ研究の流れにあるというのです。時間と物質が重なり合う。目からウロコが落ちた瞬間でした。
 南部氏から小林・益川両氏へ、さらにその源流には日本初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹氏や坂田昌一氏がいます。日本の理論物理学は物質の追求では世界トップであることは誰もが認めています。
湯川氏の人生は、核兵器の廃絶に生涯をかけた人生でもありました。科学と理性の力は、人類の生存と平和への願いに支えられて、鋭く大きくなっていったことを、忘れてはならない、と改めて思いました。