千束小学校で実施している放課後子ども教室について、会計検査院は補助金の申請に過大請求があったと指摘し、区は補助金の一部を返還することになりました。同事業は放課後の子どもの安全な居場所をつくるため、として国が2007度年からすすめていますが、区の補助金過大申請というより、国の児童対策の貧困にこそ問題があることが浮かび上がりました。

国の安上がりな放課後児童対策こそ問題!

 国は2006年、文部科学省の「地域子ども教室」と厚生労働省の「放課後児童クラブ(学童保育)」の両放課後対策事業の連携として「放課後子どもプラン」の方針を発表しました。
 以降、文科省の事業は「放課後子ども教室」として、全児童を対象に推進されてきました。平成今年六月現在、全国で1,076自治体、10,098の教室が開設されています。
 放課後や週末に子どもたちが安全に安心して活動できる居場所をつくり、併せて地域の人たちの協力を得ながら子どもたちに勉強やスポーツの機会を与えようというものです。

千束小、参加者は4年で倍増!

 台東区では、2008年7月から千束小学校で、同小学校内に設置した子どもクラブと同じ民間事業者に業務を委託し、空き教室などを使って実施してきました。
 1年生から6年生までの全学年の生徒が対象で、昨年度は登校日の放課後で一日平均95人、学校休業日で42人の生徒が参加してきました。年々増えて開設した年の二倍近くになっています。 保護者の評価も高く、学校の継続要望もあります。
 今回国が指摘したのは指導員に支払う一時間当たりの単価が1,330〜1,480円の上限を超える部分まで区が補助金を申請していた、というもの。
 しかし台東区の所管である区教委は、あくまでも東京都の指導を受けて補助金申請をしてきた、人件費の単価上限も示されていなかった、と言います。
 この事業についての補助率は、国・都・区が3分の1ずつですが、今回指摘の返還額は補助金の半分を国・都に返せ、ということになり、区の負担が大幅に増えます。

こどもクラブ拡充を基本に、総合的な放課後対策を

 この事業は子どもたちの学習や生活、安全面の目配りができる人材確保が最も重要です。
 国の単価上限は、事業者の最低の事業継続のための利益や、指導員らの社会保険料などを勘案すれば、極めて低い水準です。
 この制度そのものが当初から地域ボランティアに相当部分を委ねる設計で、今回の補助金「不正」指摘は児童対策を安上がりに済ませようという国の姿勢のあらわれです。
 教室は午後5時半で終わり、親が子どもを引き取りにくることになっていますが、最近共働き家庭が増え、その時刻までに来られない親も少なくないといいます。
 この事業は「保育に欠ける子ども」を預かる学童保育(子どもクラブ)とは全く別のものです。学童が必要な層までカバーしていることも配慮すべきです。
 日本共産党区議団は、子どもクラブを必要とするすべての子どもに整備することを基本に、放課後子ども教室は子どもクラブ、児童館や図書館、児童福祉施設などと連携して居場所づくりをすすめるようがんばります。


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