区教育委員会は11月1日、柏葉中学校難聴学級への区外からの「校内通級」を受け入れない、との方針を、入級相談者と保護者に通知しました。 
 「中学校選択制度」で学区域内の生徒も受入れが困難、という「異常事態」が原因です。
 同校の難聴通級学級は都内で最も早くつくられ、区外生徒も受け入れ、ろう学校に入れない子どもも含め耳の不自由な子どもの発達に大きな貢献をしてきました。
 今年は子ども全国都道府県対抗駅伝の中学東京代表として大活躍した生徒を輩出しました。来春の希望者は五人。教育委員会は全員受け入れるようにすべきです。


基礎学力をつけ、集団生活で対等な人間関係つくる貴重な「校内通級」学級

 「校内」通級学級はおおむね、英数国三教科を難聴学級で指導し、他の教科は通級学級で学ぶというシステム。これにより難聴学級の生徒は学力を伸ばしていくことができました。
 「今春卒業した一人は、入学時後ろから三十番目だった成績が、卒業時は上からトップ三十に入るまで学力が伸びた」(同校関係教諭)というほど、発達や成長にとってかけがえのない役割を果たしています。
 これが「校外」となると、部活動などもあり週一回程度となり学習指導は大幅に後退します。
 障害手帳を取得している子どもは、ろう学校に行く権利がありますが、六十デシベルという基準は高すぎて、通常の会話がまったく聞こえない子どもでも多くが手帳を受け取れません。難聴生徒のほとんどが先生の声が聞こえず、孤独に授業を受けています。
 小学校では難聴児がたった一人だったとしても、中学校の「校内通級」難聴学級で、区外も含め数人集まることで集団生活を送り、けんかやトラブルもおこしながら初めて、対等平等な人間関係を学ぶ場ができます。ここに、区外からの生徒も受入れて学級を構成する意義があります。
 柏葉中では今春、学区域内の生徒が入れない、という学校選択制のゆがみが明らかになりました。その歪みが、もっとも弱い障害をもつ子どもにしわ寄せされていることは許せません。区教委は直ちに改善すべきです。


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