社会保障を自治体に丸投げする自民党の改憲には反対せよ。

(あきま)
 次は、地方自治です。
 来年度の政府予算案は、地方公務員給与の7.8%削減を前提に交付金を大幅に削りました。総務大臣は、区職員の給与を減らせと、直々の手紙を区長と議長に送りつけてきました。
 地方自治に対するこの暴挙を、区長はどう受け止めていますか。
 自民党改憲案は地方自治を中央集権的なものに、根本から書き替えようとしています。憲法92条に定められた「地方自治の本旨」とは何だと認識していますか。
 この間、地方分権の名で自民党政権は、公立保育や準要保護児童の就学援助、老人保護費への補助金をなくしました。民主党政権は地域主権の名で、交付金の一括化をすすめ自治体への財政支出を減らしてきました。
予算でみると、国庫補助の比率は、保育が10年で半減、国保会計も当初の5割から現在では26%に減っており、区民福祉を進める上でおおきな障害になっています。
 社会保障を自治体に丸投げする自民党の改憲方針には反対すべきではありませんか。
 区長はこれまで、地方自治を壊す国の方針を無批判に受入れてきました。国と足並みをそろえ、区民には自助・共助を強調する一方で、区の財政が大変だとして区民福祉を削減してきました。
 財政を理由に、高齢福祉、保育や教育など区民福祉を切り捨てるやり方は、住民福祉の機関である自治体として本来あってはならないことではありませんか。

(区長)
 努力している自治体に、国が一方的に何らの相談もなく職員給与引下げに言及するのは地方自治のあり方からも問題です。区長会での協議を踏まえ対応していきます。
 「地方自治の本旨」とは、自治体が国から独立した立場で、自らの判断と責任の下に地域の行政を担当する「団体自治」と、運営が住民の意思の下に行われる「住民自治」の二つの側面がある、と考えています。両者が車の両輪として機能することが、施策の迅速かつ的確な実施にかかせないと思っています。
 改憲論議は動向を注視します。
 区民の日々の生活を守る施策を着実に推進して、区民福祉の向上を図る基礎的自治体の長としての責務を果たしていきます。

教育の目的は、有用な人材づくりではなく、一人ひとりの人格の完成ではないのか。

(あきま)
 最後は、憲法と教育について、教育長に質問します。
 教育長は就任直後の決算特別委員会で「教育は国家百年の計」「あすの台東区を担っていく子どもたちを育み」「地域や社会に貢献する精神を子どもたちに育成したい」と発言しました。
教育の目標は「国や地域に有用な人材づくり」ではなく、一人一人の人格の 完成にあると思います。それが結果として、国や台東区の将来を切り開く力に育つのです。
 区教委が掲げる教育目標を達成するための基本方針には、ずっと「日本国憲法と教育基本法の精神に基づき」と入っていましたが、教育基本法が改悪された平成18年に削られました。
 教育長。憲法順守義務を、どう認識していますか。憲法が求める教育の目標とは何だとお考えでしょうか。

(和田教育長)
 私も憲法を順守するのは当然のことと考えています。
 憲法が求める教育の目標は教育基本法において定められています。地域や社会に貢献する、という私の答弁は、具体的な目標として掲げているもので、憲法の理念に基づいていると思っています。

適適方針を総括せよ。中学校選択制は見直すべきだ。

(あきま)
 いじめや体罰を苦にした子どもの自殺。子育て家庭と子どもの貧困の広がり、その連鎖が大きな社会問題です。強きを助け弱気をくじく市場原理主義が、雇用と社会保障を破壊するだけでなく、教育にもおそいかかっています。
 安倍首相は第一次内閣の時、「全国いっせい学力テスト」を導入し、「特色ある学校づくり」を掲げ学校間・子ども間の競争の強化をすすめ、ついに教育基本法の改悪を強行しました。
 現政権は、これに加え、戦前のような国家主義的教育を復活させようと、侵略戦争を美化する顔ぶれをそろえて、教育再生会議を復活しました。
 この会議は、教職員の管理を強める「新教育3法」や飛び級の導入、教育委員会の見直しなどで、市場原理と統制・競争の強化をすすめ、教科書検定基準の見直しで国の教育内容への介入・支配を強めようとしています。
 台東区は、国の方針を先取りするように、学校に対し競争と管理をすすめてきました。同時に、適正規模・適正配置、いわゆる適適方針にもとづく小中学校の統廃合、学校用務・給食調理の民間委託で、教育予算を削減してきました。国の「特色ある学校づくり」以前に、中学校選択制を導入しました。昨年も今年も、通学域内の子が半分も選択しない学校が複数出ています。
 生徒を獲得するための学校間競争は、地域と学校・地域と子どものつながりを弱め、逆に子どもや保護者間の競争と対立をすすめたのではないでしょうか。
 その結果、区がめざした適正規模からかけ離れる学校が毎年出ています。これでは何のための適適か、ただの財政を理由にした学校つぶしだった、と言われても仕方がないではありませんか。
 教育長。終了宣言した適適方針の総括がいまだに行われていないのはなぜでしょうか。すべきではありませんか。中学校選択制を見直し、子どもを真ん中に置いた学校づくり、地域が育む学校をとりもどすべきではありませんか。


(教育長)
 適適方針の終了によって、本区の児童・生徒の状況に応じた規模の学校配置がなされたものと認識していますのでご理解ください。
 中学校選択制は、自ら希望する中学校に入り積極的に学習し、伸び伸びした学校生活を送ることができるよう導入しました。10年経過しましたが、少しずつ地域と学校とのつながりを考慮して見直してきました。今後も適宜見直しをはかりながら運営していきます。


(あきま)
 いじめや体罰は、台東区も例外ではありません。昨年は区立中学での教師による体罰が、子どもと保護者・地域の心の傷を広げました。
 心痛む悲劇を絶対に生まないために、台東区教育委員会は、子どもを、過度な競争によるストレスや貧困から守り抜くことに力を注ぐべきです。
 異常な競争と管理の教育を見直し、教職員の目がよく行き届き、どの子も授業がよくわかる学校、友達と助け合い・切磋琢磨できる、楽しい学校づくりをすすめるべきです。
 そして何より、子どもの人権を侵害する暴力を一掃することを強く求め、私の質問を終わります。


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