やるせない怒りと悲しみ


 私が強烈に感じた臭いは、二年前に沿岸被災地で感じた魚の腐敗臭とは違いました。
 二年間人の入れなかった家や商店で鼻をついたのは、「けもの」とその糞の臭い。「イノブタの仕業」と言います。豚舎から逃げ出したブタと野生イノシシが交配して生まれ、家の残飯や農家の倉庫、商店の商品をあさりつくしていきました。
 やる瀬ないのは、高線量で立ち入り禁止区域の警戒網をくぐって、空き巣がはびこったことです。富岡駅前のたばこ店の自販機はバールでこじあけられ、商品とお金が持っていかれていました(写真上)。
 


 楢葉町のお寺には「コラー、ドロボーよく聞け! 3月12日町のみんながどんな思いで町を離れたか分かるか! 絶対バチがあたるからな! 仏様が見ているから!」と、貼り紙がありました(写真)。



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