障害もつ乳児の切実な声、台東区を動かす!


 3月初め台東区に引っ越してきた、Kさん夫妻。昨年九月、体重が1000cの双子の「極小未熟児」、SちゃんとRちゃんが生まれました。
 大きい方のRちゃんでも、同じ月齢児の半分ほどの体重。Sちゃんは心臓が奇形のためもっと小さく、私には生まれて一か月くらいしかたっていないように見えました。
 Sちゃんは、心疾患により血中酸素濃度が極端に薄くなる生命の危機と隣り合わせて生きています。昨年12月、酸素が異常に少なくなり心臓に人工血管を移植。年明けにも同様の症状で、2回目の移植手術を行いました。
 ●24時間の介護が必要
 Sちゃんは口からお乳を飲めず、鼻から胃まで2本の管を通し吸収しています。これが一日5回。深夜も含めて行われます。授乳に丸一時間、その後一時間、ミルクが逆流し嘔吐して窒息しないように抱きかかえます。合計二時間を、母親が行います。1日10時間かかります。
 これに加えRちゃんへの授乳と、そのときのSちゃんの見守りも母親にかかります。二人の命をつなぐには、24時間の介護が必要です。
ただでさえ大変な子育てです。身体の弱い双子の命を育む営みは並大抵ではありません。母親は心身とも限界に来ているように見えました。
 ●のしかかる経済的負担
 ところが台東区は、ヘルパーは月30時間(2日に1回2時間)が最大。障害福祉課の対応でヘルパー利用料が補助割引額の最大時間である月30時間を超える分は、子ども家庭支援センターと社会福祉協議会を使うよう紹介しました。
 ●やっと戻った笑顔
 しかし、いずれも産後6か月までの補助で、利用できたとしても併せて年間九十時間まで。しかも一時間500円かります。必要な1日8時間を30日お願いすると、月約12万円もの負担になります。一般のサラリーマン夫妻に支払える金額ではありません。
 そのため北海道と兵庫から夫妻のお母さんが交代で手助けにきていました。
 私は3月末、K夫妻から相談を受けました。すぐに要望を区に伝え、保健サービス課・子育て支援課・障害福祉課、別の部に属する三つの課が連携をとって、知恵を出し対処するよう要望。K夫妻も、直接、具体的な要望を熱烈に伝えました。
 数日後、障害福祉課が改めて訪問。現場の状況をつかんで、いままでの6倍・1日6時間のヘルパー派遣を勇断しました。負担も従来のままです。子育て支援課のヘルパーも倍に増えました。K夫妻の顔に笑顔がもどってきました。
 ●初回調査が不十分
 私は、初回の行政の聴き取りが現実を十分つかまなかったと言わざるを得ません。携わる職員の気持ちに、いつも財政が大変だ、という圧力が加わり、区民の切実な声を受けとめる耳や目を曇らせてはいないか。そんな思いがしました。
 また、このケースでは、三つの部と課が連携して対策を講じることが重要だが、私が指摘するまでは横の連携はとられていませんでした。
 子育て支援ヘルパーの無料化や、入院や医療行為と福祉施策の境目がカバーできない問題など、政策的な課題も感じています。