区民の知る権利を侵害し、区職員も処罰の対象になる。区長の認識はどうか。

(あきま) 
 第一は、秘密保護法と台東区政についてです。
 秘密保護法案が成立をめぐり緊迫しています。
 なにが秘密か、それも秘密。防衛・外交にとどまらず、行政の長の判断で際限なく秘密の範囲が拡大され、秘密かどうかも知らされないまま、それを漏らしたり、接近したりしようとしたらすべての国民が厳罰に処される、国民の目、耳、口をふさぐ法案です。
 台東区民は知らぬ間に犯罪者にされる危険があります。

 戦争は秘密から始まります。先の戦争で日本国民はそれを体験しました。秘密として真実を隠され、大本営による偽りの情報操作で身も心も戦争に動員されていきました。安倍首相は秘密保護法を、現代の大本営・日本版NSCとセットで成立させる、としています。国民に真実を隠して戦争できる国にしようという狙いです。
 イラク戦争で、ありもしない大量破壊兵器の存在をアメリカと情報共有し、言いなりになって自衛隊を現地に派兵した反省もないまま、国民を危うい方向に導こうとしています。
 自治体職員も政府から提供された秘密を漏えいしたら5年の懲役の対象になる、との政府答弁がありました。
 区長。この法案は、区民の知る権利を侵害する憲法違反の危険な法律だと思いますが、どう認識していますか。区の職員も処罰の対象になると思いますが、いかがですか。見解をお示しください。


(吉住区長)
 この法案については様々な意見があることや、国民生活への影響があることも認識しています。
 しかし本法案は、安全保障に関して、特に秘匿が必要なものを特定秘密に指定するものであり、国の安全が脅かされるような情報を、国が一定期間秘密にすることは必要である、と考えています。
 

区政運営に支障をもたらす。国に対し反対の意思表明をすべきだ。

(あきま)
 政府の情報は今でも「秘密」だらけです。米軍が日本に核兵器を持ち込む日米核密約、アメリカに日本を売り渡すTPP交渉、首相や官房長官らが領収書なしで使える内閣官房機密費、在外公館のワイン購入に関する情報に至るまで秘密にしています。
 台東区はどうでしょうか。
 台東区情報公開条例は、第一条で、「区が保有する情報を公開することにより、区民の区政参加を推進し、地方自治の本旨に即した、公正で開かれた区政の進展を図ることを目的とする」としています。
 同時に、個人情報保護条例で区民の基本的人権を擁護し、この二つの条例を通じ区民と区政の信頼を実現する、というのが台東区の立場であり、区民・区政双方にとって大変重要な内容です。
 私は区の情報公開というと、十数年前に大相撲マス席の官官接待の資料が、個人情報を理由に多くの個所が黒塗りで出されたのを思い出します。情報公開についてなんと遅れた区なのだと、実感したのを覚えています。
 もう一つ、21年の決算特別委員会で私は、都市ガス会社が、ガスの供給を制御するガバナという設備が、区道や公園に設置されている個所が少なかったため、占用料が適正に徴収されていないのではないか、区内のどこに設置されているのか、と質問したことがありました。
 


 このとき理事者はガス会社が明らかにしないので場所はわからない、と一度答えたのですが、翌日、答弁を訂正し、場所は知らされていたが、どこかは明らかにできない、としました。理由はテロ対策、ということでした。とてもテロの対象になどなり得ない設備ですが、議会でも答えられないことですから情報公開を請求しても、却下されたでしょう。区の秘密情報ということになります。
 区民は、ガス会社からの占用料収入の適否を検証できず、区民の自主防災活動でも必要な情報が提供されません。なによりテロの標的になるような施設があることを、近隣住民が知らない、というのも問題でしょう。
実はこの9月3日、区議会が都市ガスの防災対策を視察したとき、ガス会社の社員は何の躊躇もなく、区内のガバナ所在地をモニターで示しました。区が情報公開しない理由はなくなりました。

 秘密保護法が成立したらそうはいきません。テロ対策は、特定秘密の4つのカテゴリーの1つです。これを根拠にされたら、ガスの制御装置だけでなく、相当多くの情報が区民から隠される危険があります。
 区長や職員が区民のために情報公開が必要、と思っても公開できず、職員が委縮することになります。私たち区議会議員は、真実に迫る質問ができなくなります。
 区長、あなたも私も、なにかもわからぬ特定秘密を侵したとして厳罰が課されるのです。
 秘密保護法案は、区民との信頼・協働に支障をもたらす、区政運営上も問題のあるものではありませんか。国に対して反対する意見をあげるべきではありませんか。お答えください。

(吉住区長)
 情報公開制度については、外部委員で構成する運営審議会等を設置し、適正に運営しています。今後も条例の適正な運営に努めていきます。
 区政運営についても、区民の皆様からの信頼や共同を損なわないよう、努力していきます。
 この法案は国会において審議中ですので、その動向を注視して参ります。


区長答弁は、区職員の処罰についての認識がない。改めて答えよ。

(あきま)
 区長。あなたは、私が区職員も処罰の対象になると思うが、どう認識しているのか、ということについて答えていません。改めて答弁を求めます。

(吉住区長)
 私は、国民生活への影響があると認識している、と答えました。それが答えです。ご了承いただきたい。


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