児童・生徒数の急増に伴う教室確保を

 (あきま)
 次は教育環境についてです。
 まず、学校施設が児童・生徒の増加に対して追いつかず、学校生活・学習環境に支障が出ている問題です。
 小中学校の学級が増え、教科教室や図書館、パソコン教室をなくして普通教室にする工事が21年度からこの5年間で8教室発生し、総額で約3800万円かかっています。
 22年度と24年度には、蔵前小学校に3教室、25年度は金竜・東浅草・金曾木小に各1教室確保し、柏葉中では教科教室を教室に転用しています。
 とりわけ蔵前小は深刻です。蔵前小は、もともと普通教室は12でしたが現在3学級増え15学級という状況です。
 蔵前小学校区域はどんどん子どもが増えており、来年4月の学区域内の入学対象者は130人で3クラスは確実です。保育所の待機児状況をみても、今後しばらく1年生は最低3クラスを見込むべきです。35人学級がすすむことを勘案すれば上級生での教室増加も想定すべきです。
 教育長。来年度は子ども子育ての5年計画の検討期間になるわけですが、少なくとも5年以上の学区域別児童数の見通しをたて、計画的な対策を講じるべきではありませんか。また、とくに切迫した小学校の今後の教室不足をどう認識し、どう対応しようとしているのか。お答えください。

 (和田教育長)
 今後は就学前人口の動態推計から、一部の学校では学級数は増加していくものと見込んでいます。
 教育委員会では、教室の将来需要に的確に対応していくため、学区域ごとの就学前児童数などの現況をもとに、中長期的な予測数を試算しています。
 そのうえで、学校ごとに、個別具体的に課題の整理を行い、現在、その対策を検討しているところでございます。

強引な小中学校の統廃合計画=適正規模適正配置方針の明確な総括を

 (あきま)
 こういう事態にいたった大本は、小中学校の強引な統廃合計画・「適正規模適正配置方針」いわゆる「適適」にあるのではないでしょうか。18万区民をめざし、「子育てするなら台東区」を掲げ子どもを増やすアクセルと、同時に「適適」というブレーキを踏んだ矛盾が表れたことは明白です。
 もちろん、子どもの元気な声がたくさん聞こえる台東区をつくることは大賛成です。医療費無料化など当初の区長の子育て支援方針も評価してきました。
しかし、待機児童の増加はじめ、矛盾が噴出しています。先週金曜日の区立幼稚園の二次抽選には22人枠に50人が応募し、結局22人は行く幼稚園がない状況とききました。
 次の長期総合計画では、こういう事態を正面から受け止め、子どもと子育て世帯を応援する姿勢を高く掲げて、色あせつつある「子育てするなら台東区」のスローガンに説得力を持たせるべきではないでしょうか。

 教育環境問題として重大なのは、いまだに「適適」の総括が行われていないことです。
 私は20年の予算委員会の総括質疑で、すみやかに忍岡小の存続を決めて適適方針の撤回・終了を、と求めた質問を皮切りに、4回にわたり適適方針の不当性を指摘し、終了後はその総括を求めてきました。
 今年2月の代表質問では総括をあらためて求めましたが、教育長は「終了をもって『本区の児童・生徒の状況に適合した規模の学校配置がなされた』と認識している」と、答弁しました。
 これは、検証しないで正しかったと結論付けるものであり、総括ではありません。
 教育長。毎年のように教室をつくる工事を余儀なくされている状況が正常なのか、「本区の児童・生徒の状況に適合した規模」と考えているのでしょうか。お答えください。
 そして好ましくないと考えるなら、適適の総括を真摯に行うべきではありませんか。あらためて答弁を求めます。

 (和田教育長)
 教育委員会は、「台東区立小中学校適正規模適正配置基本方針」に基づき、学校における「集団による教育の充実」及び「教育指導面と学校運営組織の充実」を図るため、既存学校施設を活用した、小中学校の統廃合を実施しました。
 その結果、児童・生徒数に対する学校数・学級数はほぼ適正な状況にあると認識しています。
 今後とも、学校における必要な改修や教室整備等を行い、良質な教育環境の提供に努めてまいります。

ワンルームマンションの規制を。とりわけ学校近隣での規制強化を。

 (あきま)
 学校近隣の中高層建築物による教育環境の悪化も見過ごせません。この1年だけでも、浅草小、ことぶきこども園、御徒町台東中、三校で隣接地での中高層建築物が学校関係者や近隣住民との問題になっています。
 共通しているのは、ワンルームマンションが子どものプライバシーや安全安心などに不安を与えていることです。ワンルームマンションは地域コミュニティーを壊すとして、学校に限らず地域でもこれ以上いらない、という声が広がっています。
 区は課題を認識し、学校に隣接する中高層建築物の建築主は、現行より30日早く学校・近隣に知らせることを義務付けることにしました。これは一歩前進ですが、全く不十分です。
 台東区の集合住宅条例は家族向け住戸の専用面積を40u以上、総戸数の3分の1以上設置しなければならないとし、事実上これだけでワンルームの規制をしています。
 現在、区内で建築ラッシュのマンションの多くは、ぴったり3分の1が家族向けで3分の2がワンルームという建物ばかりです。しかし40uは子どもができたら住み続けられる面積ではありません。50u、55uと、面積基準を広げている区も出てきています。
 区長。集合住宅条例を改正し、ワンルームマンションの供給を抑制すべきではありませんか。また、学校周辺については、事前アセスメントを設けることなど、一層の規制を講じるべきではありませんか。

 (吉住区長)
 ワンルームマンション建設に当たりましては、地元の皆様との十分な協議をお願いしていますが、紛争に至る事例があることは認識しています。
 区民の皆様が安心して暮らしていける環境を整備するため、現在実施している「住宅マスタープラン策定基礎調査」の結果を踏まえ、ファミリー向け住戸の設置割合について検討して参ります。
 また、事前アセスメントについては、来年4月に施行する「東京都台東区建築計画の早期周知に関する指導要綱」において、学校に近接する建築物の建築主に対して、日照・防音・振動対策などの生活環境に配慮した計画の作成を求めておりますので、施行後の推移を見守りたいと考えております。


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