台東区は来年度からの「子ども子育て支援新制度」で、施設や事業の設備・運営に関する基準案を示しました。しかし、国の基準を上回って子どもを守る内容は二項目だけ。現在区が行っている保育水準より低い国基準でいい、とする内容が含まれており、保育の質の低下が危惧されます。「保育の必要性」の認定では就労時間の下限を国基準より多くするなどの問題点もあり、改善すべき点がたくさんあります。


 「子ども子育て支援新制度」は、保育をはじめ子育てに関する制度や事業を大幅に再編します。就学前の子どもの保育・教育では、これまで幼稚園、保育所、認定こども園がそれぞれの法律のもとに実施されてきましたが、これに加え認可外保育施設が事業として新制度の中に入ってきます。
 市区町村は、施設や事業の基準(「認可」・「確認」)を定めることが義務付けられています。国は、「従うべき基準」「参酌基準」を自治体に示していますが、それぞれの自治体が区民や関係者らと長年にわたって蓄積してきた子どもを守るための到達点が十分反映されていません。
 日本共産党台東区議団は、@認可保育所を中心に待機児童を解消する、A国の「従うべき基準」「参酌基準」とも上回る基準にし、少なくとも現在台東区が行っている保育・教育の質を維持する、Bどの子も保育環境・条件で差別されない……という視点で区の原案を改善させたい、と考えています。
 たとえば、無認可から認可に変わる「家庭的保育(保育ママ)」「小規模保育所」「事業所内保育」「居宅訪問型」(以上を地域型給付と呼びます)などの職員は、保育士資格がなくてもいいケースが国の基準で示されていますが、台東区が認可する施設(事業)は、すべて保育士資格を有する職員で運営すべきです。
 保育士の配置基準も、台東区の基準は現在、ゼロ歳児は「国基準」三対一に対し、三対一で算出した数を小数点以下切り上げる。一歳児は「国基準」六対一ですが、五対一で算出した数を合計して小数点以下切り上げる、となっています。
 今回の原案は国の基準通りとしていますが、これでは後退です。新制度で始まる地域型給付の「認可」基準でも、認可保育所や認定こども園の「確認」基準でも、現行の区の水準を維持することを求めます。
 また、保育の必要性を認可する就労時間の下限を国が四十八時間からとしているのに、区の原案が五十二時間になっていることは国基準以下ということになります。四十八時間にすべきです。

 新制度は、公的保育・幼児教育を解体し、企業がその「市場」に自由に参入・利益活動・利益配分できるようにするものです。
 認可保育、幼稚園、認定こども園などは、民間運営でも必要な費用は行政が支出します。それは、保育料、施設や職員基準、運営費の使い道などを定め、入所決定するからです。運営者は企業であっても、障害児も低所得世帯の児童も受け入れなければなりません。
 企業はこれでは利益が得られません。公的な制度を解体し、自由に保育料を決め、子どもを選ぶ自由を確保したいのです。でも、あまり保育料を高くすると利用されません。
 新制度は、公費負担を継続させながら自由に儲けることができるよう、補助金を現物給付から保護者への現金給付になりました。こうすれば保育料とともに入ってくるお金を保育以外にも使えます。
 新制度では、認可外保育所を認可し、面積・施設・保育士配置すべてにわたり保育水準の低下が心配されます。企業は低い水準ほど利益を上げられます。
 日本共産党は国会で新制度に反対しました。私も反対です。しかし、制度が決まり始まる以上、区内のどの子にも等しく、豊かな保育、幼児教育が保障されるような基準と保育料を定めなければなりません。がんばります。


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