台東区は来年4月から、全児童を対象にした放課後の居場所を確保する新しいモデル事業を石浜小学校で実施する、と打ち出しました。しかし、学校関係者への説明や、こどもクラブとの関係などで、区と区教委の姿勢が問われる事態になっています。
石浜小学校関係者がこの計画を知ったのは、7月24日の区議会区民文教委員会で提案される直前。これは委員会でも問題になりました。子どもの放課後対策は地域や保護者との協働なしにうまくいくはずがありません。それだけでも区の進め方は問題です。
この4月からの「次世代育成支援計画」でも、この方向は示されておらず、唐突の感は否めません。しかも、同じ委員会に報告された、蔵前小学校改築の基本構想でも、これと同じ放課後子供教室を整備する、としています。石浜小でのモデル事業にとどまらず、今後の区の基本方針とも受け取れます。
こどもクラブ(学童保育)と全児童対象の放課後子供教室は、基本的な役割が違います。前者は児童福祉法に根拠があり、保育に欠ける児童の生活の場です。この4月から区の条例で、部屋の広さや指導員の資格・人員についても基準が決められました。家に帰れば親がいる児童でも受け入れる後者とは根本が違います。
同日開催された保健福祉委員会では、区の社会福祉事業団が児童館と併設するこどもクラブ(学童保育)以外は運営を撤退するとの方針が突如示されました。
日本共産党の小高あきら・伊藤のぶ子両区議は、石浜小学校関係者への事前の説明がしっかりなされていない問題、全児童対策の名のもとにこどもクラブの整備を放棄する懸念などをただしました。これに対し区教委は「今後の情勢をふまえ、放課後の子どもの預かり方を考えていく」と、こどもクラブの整備を明言しませんでした。
台東区は、待機児童がなくなるまでこどもクラブを整備することを優先し、放課後子供教室はそれとは分けるべきです。本来、区内でただひとつ行われている千束小での放課後子供教室(子ども広場)の総括を行ったうえで、次世代育成計画など、子どもにかかわる基本方針で位置づけ、具体化は学校関係者の協力を十分得られるよう丁寧にすすめるべきです。


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