28年度からの「花の心プロジェクト」が二十四日の区議会に報告されました。
服部新区長の肝いりの事業で、「区内を花いっぱいにします」「花の心を地域に広げます」の二つの施策体系からなっています。
前者については区民との協働ですすめることが大事だと思います。三筋二丁目町会は、資源ごみ集団回収で得た収益で、三筋保育園・三筋老人福祉館周辺にフラワーポットや花壇を整備し、日々管理しています。昨年、保育園児が町会に絵入りの感謝状を贈りました(写真)。花を通じての心のふれあいが広がるのは素晴らしいことです。
後者の「花の心」を広げる、というのはどうでしょう。区は、「花の心」とは「思いやり」「公共心」である、としています。区民一人ひとりの内心に区政が踏み込んできていいのでしょうか。
私はそのことを議会で質問すると、服部区長は、この事業の動機になった詩を読み上げ、強い思いを吐露しました。ベトナム戦争荒廃の中で、人々の心を癒す花、自然の大切さ、命のはかなさ尊さを強く伝える花。その心を区民に広げたい…。
私は、区民が花を通じて自然や命の大切さへの認識を深めていくことを全く否定しません。服部氏が台東区長でなく、一市民あるいは一議員であれば協力してもいい。しかし、服部氏はいま台東区行政のトップにいます。
政治が個人の心に踏み込み、それを支配した歴史が日本には70余年前までありました。「戦争反対」と声をあげることが「公共心」がない、国賊・非国民と言われ、逮捕・投獄されました。
では今、本当に大丈夫か。総務大臣が気に入らない報道の電波を停止することができる、と言い放ち、首相が「緊急事態条項」という戒厳令を憲法に書き込む、と言っています。
憲法13条は「公共の福祉に反しない限り」「すべて国民は個人として尊重される」としていますが、自民党改憲案は「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に、「個人」から「個」を削除し「人として尊重」と変えます。
「公共の福祉」は、人権相互の衝突を、個々人の人権を尊重しながら調整するものでした。「個」を大切にする思想が消え、「公益及び公共の秩序」という全体から「個人」の尊厳が守れなくなります。
服部区長の「花の心プロジェクト」がその流れでないことは議会質問でわかりました。しかし、「政治は心に介入すべきではない」と、この機に強調しておきます。


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