中高層マンション、ホテルなどの建築ラッシュが激化しています。台東区内不動産はバブルの様相を呈しており、地域で支え合うコミュニティーや街づくりに重大な負の影響を及ぼしかねません。住み続けられる街、安全安心な生活環境を守るためにはどうしたらいいでしょうか。カギは住民自治です。3回にわたり掲載します。

「民泊」禁止を約束させよう


 花川戸で一年半ほど前に完工した分譲ワンルームマンション。浅草小学校の南側にそびえ立つ13階のこのマンションは、小学校のプールや教室が丸見えになる、地域コミュニティーを破壊する、と近隣住民とPTAが一大反対運動を展開しました。それが、学校等教育施設に隣接する中高層建築物の標識設置について、確認申請の前期間をプラス30日にする、という区の要綱改正につながりました。
そのマンションで違法「民泊」がはびこっています。


 入口の柱、右側と左側2か所にダイヤル式の鍵がチェーンでつながっていて、暗証番号に合わせると中からオートロックを解除する鍵が出てきます(写真)。集合ポストからは部屋のキーを引っ張り出せるよう紐がはみ出ていました。
 出てきたマンション住人は「これではオートロックマンションの意味がない」と話します。このマンションと同じ住所である隣接するビルの中に民泊客が間違えて入り込み、そこに住む住民の生活を脅かす事件も発生し、ドアには外から入らないよう、英語の看板がつきました。

 区内で建設されているマンションは、ほとんど区条例で定められた3分の2がワンルーム、という構造です。ワンルームは買った本人が住まない投資用が多く、オーナーが賃貸しその利回りで利益を得ようとするものですが、そこに、違法「民泊」やルームシェアなどの高利回りの用途が入り込んでいます。

 建って長年たつマンションでは、規約で民泊を禁止する管理組合が増えています。新築マンションの計画中に、建築主と協議し、マンションを売るときの重要事項説明書に「民泊」禁止を明確に書き込む約束をさせましょう。私が相談にのっている建築紛争では必ず、協定書に明記するようアドバイスし、すでに建築協定等で建築主と合意した事例も出ています。
建築トラブルを、逆に地域を見直し、近隣同士の絆を強める契機にしましょう。


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