TPPの影響を試算もしない区長

(秋間)
 吉住区長はTPP・環太平洋連携協定の台東区への影響を、どう考えているのでしょうか。まず一番先に直撃される、区内最大の製造業、出荷額220億円、1000人の雇用を支える革靴製造業での試算を示せ。
(吉住)
 TPPの経済への影響は、内閣府、農水省、経産省それぞれ異なる前提で試算しており、関税の扱いによって対応が異なる。不確定要素が多く試算は困難だ。
(秋間)
 TPPは例外ない関税撤廃ですから、革靴への関税割当制度はなくなる。ガット、WTOなど輸入自由化で20年で4割台の生産に激減した浅草の靴生産を見れば明らかだ。
(吉住)
 区内産業界は影響を測りかね静観している。連絡を密にしながら情報を収集し動向を注視する。
(秋間)
 TPP参加に熱心な経済産業省でさえ、今年度の関税率・制度改善要望で、革靴がTQ対象外の運動靴のようになると、15年後には生産量が8割も減り2割へ、事業所数が6割減の4割へと激減する、と試算している。製造業だけでなく、皮革履物は卸売業で1200億円・2300人、小売業で140億円・500数十人の販売額・雇用を支えている。関連産業はすそ野が広く、甚大な影響が出る。試算し、TPPに参加すべきでない、と態度表明を行うべきだ。



靴づくりの技術、若者へ継承を支援

(秋間)
 グローバル化の嵐の中でも生き抜ける台東区の地域経済をつくっていくにはものづくりを中心とした産業振興策を土台に据えることだ。東京という最大の消費立地、ものづくりの技術の蓄積、それを支える素材や材料のサプライチェーン、この3つがそろう台東区には大いに可能性がある。
しかし、浅草靴を支える職人は七十代代が主力で、このままでは技術が継承されず生産地としての機能がなくなってしまう。一方、靴づくりを志す若者がどんどん入ってきている。
これをどうつなぐかが大きな課題だ。@技術を若者に継承しようというメーカーには、国の雇用支援制度の活用と併せ、区も上乗せし応援する。A次代の靴づくりの若い力を育てるため、工房をつくるなどの事業を応援する…など新たな具体策を講じよ。
(吉住)
 ものづくり技術を若い人材に継承することは区内産業活性化のために重要である。策定中の産業振興プランで検討している。
(秋間)
 浅草靴の素晴らしさを消費者にアピールすることも重要だ。区内の履物小売店の協力や、商店街空き店舗を使い、靴修理、靴磨き・メンテナンスなどの店を、靴職人のOBの力を活用し、支援したらどうか。ニーズをつかみ生産現場にフィードバックする力にもなる。
(吉住)
 区では製品の理解や親しみを高めるためアトリエ化支援事業など行っており、これらの事業を活用して、本区の靴の質の高さを発信していく。


区長「区内放射線量は健康に影響なし」


(秋間)
 各地で区民が行った調査、区の教育機関等の雨どい下での測定では、一時間当たり○・二三μSv超の高い線量が出た。ところが区はこの夏に行った百五十か所の巡回測定をやめ、十六か所に減らしました。
 このような対応は、区長が台東区の放射線量は区民の健康に影響がない水準だと、勝手に判断しているからではないか。
 (区長)
 国や都が発表する数値、専門家の意見に基づき、健康に影響を及ぼさぬと判断している。周辺より高い数値の個所は低減措置を行って数値は下がっている。


国「基準」を「隠れ蓑」に使う区長

(秋間)
 放射線防護学の国際的な到達点は、100mSv以下の被ばく領域では人についての直接的証拠は不十分であり未確定である。癌や遺伝子的影響は、低線量でも起こり得る。確率的影響にしきい値なし、だ。科学的到達点をしっかり学べ。
 区長が、根拠のない丈夫論をこれ以上続けるのであれば、原発の安全神話にどっぷりつかって大参事を招いた二の舞に加担することになる、と厳しく指摘する。
区民の不安を取り除き、子どもを放射線から守りたい、という願いにこたえるには、@測定個所を大幅に増やし全面情報公開する、A除染のルールを決め0.23μSV超の高い数値が出たスポットはすぐに除染を行う、B給食食材の放射線測定を学校や保育所の現場で行えるよう測定器を設置する。この三つにとりくむしかない。
(区長)
定期測定と状況に応じた測定を併せ、きめ細かに行っていく。
環境省方針では除染実施計画区域を毎時0.23μSvとしており、本区はそれ以下であるから面的除染の対象ではない。局所的除染は文科省の地上1m・1μSvだ。できる限りの提言をめざす。


給食食材検査の実施を約束

(教育長)
放射性物質の正確な測定は性能のいい機器や検査体制の整備が必要なので全学校等には配備できないが、安心・安全対策のため、給食食材の検査の実施に向けて準備を進める。

公益企業に社会貢献を迫れ


(秋間)
防災・街づくりなどで、区政をすすめるには、東京電力、NTT、JRなどの公益大企業の役割は大きい。
ところが、JRは上野駅構内に大規模商業施設をつくり、地域商店街に打撃を与え、東西連絡橋や入谷口上りエスカレータを全額区に負担させた。電柱地中化工事への東電とNTTの負担金はわずか一・五%。社会貢献より利益を優先する、このような公益企業の姿勢は目に余る。以下、関係企業に求めよ。
@道路占用料を何重もの減免を見直し、ふさわしい料金を支払うよう、区として対応せよ。
Aバリアフリーから取り残されたJR浅草橋駅のエレベータ設置を強く求めよ。
B私立も含むすべての学校・幼稚園、保育所、子どもクラブに、災害緊急時に優先的につながる電話をNTTに整備させよ。
C六月から今後発生するすべての測定と除染費用を、東京電力に賠償させよ。

野良猫の不妊・去勢手術費用の助成予算増やす

(秋間)
 飼い主のいない猫をなくす、地域猫活動は区民の献身的な活動で、成果があがっている。台東区の地域猫活動を、環境衛生はもとより、地域コミュニティーの強化や教育活動までふくめて、位置づけを深め、高めるべきだ。部署間の連携を密にして取り組め。
区の不妊・去勢手術補助の予算が足りない。限りある財源の中で効果を上げるため、町会はじめ地域ぐるみでとりくむ枠を別につくったらどうか。それにふさわしく不妊・去勢手術費用の補助の予算を増やせ。
(区長)
 地域猫活動はコミュニティ強化や動物愛護精神の醸成にもつながっている。関係所管で連携を取りすすめる。今後は地域単位での取り組みへの助成枠も検討し、より効果的な事業実施を行う。


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