第一回定例区議会が始まり、いよいよ来週からは予算特別委員会です。
 これまで区長の所信表明(6日)、各会派代表質問(11日)、一般質問(13日)、各特別委員会(14〜17日)が開かれ、23日まで常任委員会で審議が行われます。
 私なりに感じたここまでの論戦の特徴点を報告します。


区民が動かす放射線対策。給食検査で機器購入へ。
 まず、明るさのある動きです。
 放射線から子どもと区民の健康を守る、という点で、遅まきながら区が前進し始めているという点です。
 昨年秋以降、放射線測定箇所の定点数を減らしてきた区ですが、教育委員会を中心に子どもにかかわるポイントで測定箇所を増やし、公表することを約束しました。線量計を3台購入し、区民への貸し出しも行います。
 学校給食の食材検査でも、学期に2回ほど、と言っていた回数を月に2回に増やし、測定器を購入することにも前向きな姿勢を示しました。
 これはひとえに、放射能から子どもの命と健康を守りたい、という子育て層をはじめとした区民の声が区政を動かしたといえます。区議会で審議された陳情数は10を超え、初めは「台東区は安心。大丈夫論」「危機感をあおるな」と、陳情に後ろ向きだった与党区議もだいぶ態度が変わりました。
 区民陳情は放射線に関してはほとんどが主旨採択になったことは画期的です。
 もう一つは来年度予算。基本的には区民生活を応援するどころか負担増と福祉施策後退で、納得できない内容ですが、わずかながら明るいものもあります。
 
 



ものづくり支援、地域猫、不妊治療で前進も
 まず、これは私も執念をもって取り組んできた、ものづくり・クリエーターを応援する施策です。
 台東区最大の地場産業である革靴製造を担う職人を育成する事業がようやくスタートします。また、地域に存在するものづくり工房や工場、デザイナーを面的につなげるモノマチのようなイベントへの助成も始まり、商店街空き店舗への家賃助成も念願かないました。
 どれだけ利用して、地域を若い力で活性化できるか。楽しみです。
 ボランティアの献身的な努力で、飼い主のいない猫(野良猫)を減らす地域猫活動ですが、不妊・去勢手術への助成予算が倍増します。私は昨年、決算員会と第4回定例会一般質問でとりあげました。
 また、子どもができないと悩む人への不妊治療への助成制度も始まります。


国保、介護、後期高齢の3保険料が大幅値上げ。子育て層への増税と手当削減でダブルパンチ。手を打たぬ区。

 来年度予算で区は、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料をすべて大幅に引き上げます。
 高齢者は連年の打撃です。年金が減らされますから、「もう天引きできない」過酷さです。
 今回は、年少扶養控除や特定扶養控除などが廃止・縮小され、増税をかぶる子育て世帯がとくに大変です。
 私の試算(区当局も認めています)では、子ども2人(18歳以下)で妻が専業主婦ないし103万円以内のパート労働の4人家族の場合、所得税・住民税・国保料の値上げが、
 ●年間給与500万円世帯で253,974円
 ●年間給与700万円世帯で289,611円
〜にもなります。
 さらに、2人の子どもが3歳未満でなければ、子育て手当が月に6000円減りますから、72,000円の収入減です。
 台東区はそれなのに、何の手立ても講じようとしていません。


区長を守る民・自・公・みんな。翼賛議会では区民の声とどかない。

 問題なのは、区議会が悪い役割を果たしていることです。
 自民党は区長を支えていますから、区の財政「危機」をあおり、歳出削減ばかりを強調。区民福祉予算への攻撃の先鋒です。
 区民クラブ(民主系会派)は一般質問で、「区は保育の守備範囲を決めよ」と公的保育からの撤退を求めました。保育園に入れない子がこの春昨年以上に増えそうです。そんなことはおかまいなし、という姿勢。
 公明は、代表質問で医療費の抑制を公然と求めました。受診抑制がすすみ、心痛む健康悪化をお医者さんが区の協議会でも指摘しているのに…。
 みんなの党は今議会、無所属クラブの3人とともに新会派を結成し5人の中堅会派になりましたが、委員会では、「住宅リフォーム支援」「国保料の引き下げ」「介護保険料の引き下げ」など、区民の切実な陳情を不採択にしました。
 翼賛区議会では、区民の声がつぶされてしまいます。


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