「自殺の練習」「葬式どっこ」など、死を想定した残忍な手口のいじめが、大津市の中学校で、生徒を自殺に追い込みました。先月は品川区で今年三人目のいじめによる自殺者が出ましたが、この生徒は教育委員会の七月の緊急調査では、いじめとして認知されていませんでした。痛ましい事件をなくすにはどうしたらいいのでしょうか。

実態をつかめていない学校、教育委員会

 大津市の事件を受け都教委は7月、緊急に実態調査を行いました。台東区は小学校で20件、中学校は6件、「児童生徒の命が脅かされたり、警察が捜査を開始したりするようないじめの問題の報告はない」と区議会に報告しました。

 

     小学校      中学校
   不登校 いじめ  不登校 いじめ
H21年 19   12    60   6
H22年 11   22    61   9
H23年 19   8    55   12
*文科省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」


 上の数字は文科省に報告した区教委の調査結果。教育関係者の間では、「意図的にいじめが少なくなる調査」として有名です。
 いじめ認知をしていない学校が、小学校で62%、中学校で42%にも上り、不登校の理由にいじめが占める割合は、小学生で1%、中学生で2%台と報告しているからです。

 実態より少なくなるのは教育委員会が学校管理者に聞き取っていじめを判断するため。本人から直接アンケートで行った昨年の内閣府調査では「不登校の半分はいじめが原因」となっています。
 7月の調査も学校管理職から聞き取る同様の手法でした。これで深刻な事態はない、とする区教委の認識は甘いと言わざるを得ません。

 区は、いじめが疑われる行為を見かけたら連絡を、と区民に呼びかけるポスターを区立施設に掲示しました。
 今議会では、教員が子供にかかわれるよう校務事務の改善をすすめる、「学校支援員」の配置や「いじめ・虐待問題専門委員会」の設置など示しました。これでいじめをなくせるのでしょうか。

 まず、直接生徒からアンケートをとり、子どもにおきている現実をしっかりつかむべきです。


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