台東区は今年度からの介護保険・高齢福祉3か年計画に特別養護老人ホーム整備を盛り込みませんでした。しかし、私には高齢者の医療・介護・住宅の深刻な実態と相談が増え、その多くは行き場を失ったお年寄りとその家族からのものです。特養やショートステイの整備は緊急重要課題です。

私のまわりに こういう人が増えています

◎浅草橋のOさん(68)は一昨年、生活困窮のため餓死寸前で発見され、救急搬送後、区外の3病院を転々としました。受け入れ病院が見つからず、最後の病院があった豊島区のデイサービス施設に宿泊するようになり、1年半になります。一つの部屋に男女別なく5人が就寝。宿泊は介護保険外ですから、無収入のОさんなのに月13万円かかります。区外のお姉さん(72)が払っています。

◎根岸のTさん(76)は昨年脳梗塞で倒れ、区内の急性期病院から療養病床に移り、今年3月、受入先がなく茨城の病院へ。6月には都内の病院に移れましたが、わずか1ヶ月で8月6日に山梨の病院へ。どの病院も目がうつろでしゃべれない人、奇声を発する人ばかり。認知のないTさんは私が見舞いに行くと「死なせてほしい」と泣きます。


私の父もいわゆる「社会的入院」で5年以上です。3年ほど前から私のことも分からなくなるほど認知症がすすんでいますが、何とこの8月12日に久しぶりに面会に行くと私を「ひ・ろ・し」と呼びました。熱いものがこみ上げ、足を遠のかせていたことに強い自己嫌悪を感じました。

3年で特養計画ゼロ 区は緊急に整備せよ

 病院の「たらい回し」、特養ホーム待機者の高止まり…「介護難民」がどんどん増えています。
 これに対し国は、今年度から3年にわたる第5期介護保険計画で、「地域包括ケア」を柱にしました。「日常生活圏域内において、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される体制の整備」という意味です。
 目玉は24時間対応の介護・看護。施設ではなく高齢者住宅で介護するというものです。住み慣れた地域で安心できる介護を受けられる方針は正しいと思います。
 しかし、24時間巡回をする介護報酬は定額で、事業者は訪問回数を増やすと赤字になる仕組みになっています。住宅への建設補助も1戸100万円でわずか3万戸しか計画していません。
 特養ホームは1床当たり350万円の国庫補助が必要ですから、今回の改正は国庫支出の抑制が目的と言わざるを得ません。区は、この国の姿勢に追従しています。
 区は3か年計画に特養ホーム整備を入れ、国や都は整備費や運営費の補助を拡充することを強く求めます。

増える「お泊りデイ」 都・区は実態をよくつかめ


区内三筋の宿泊サービスを実施しているデイサービス施設。切迫した方たちの受け皿になっています。外観はまったく普通の一軒家です。

 デイサービス事業所が介護保険外で行う宿泊事業の需要が広がっています。
 介護に困り果てた方のため、とがんばって運営している事業所もありますが、安全上不安がぬぐえないのも事実です。
 日本共産党都議団は、一昨年12月、北区の同種施設で、宿泊中急病で救急搬送された方の足のすねに骨が見えるほどの傷があったという告発を機に、実態調査を行いました。
 これを受けて東京都は昨年4月、施設の基準をつくり事業者に届け出の義務を課しました。しかし、連泊の制限、安全、プライバシーや防火・防災対策、職員体制、施設面積などの基準に罰則がないため、厳格に守られていいません。
 「デイサービス泊、増幅〜1泊800円・男女の区別なく就寝、一年連泊〜事故で死亡10件。行政の目届かず」(7月4日、「朝日」)など、問題になっています。
 8月1日現在、都に届け出ているのは242事業所(うち5つは今年に入って廃止)で、台東区内には2か所届け出があります。都や区は実態をよくつかむべきです。



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